スイカップ!カカシちゃん














「カカシ、なんだい、そのまな板は。お前は女らしさってものをわかってないね」
「全く、お前の女体化はなっておらんのぉ。しかしのぉ、そう言うお主も昔は人のことを言えなかっただろうが。まな板綱…」
最後まで言い終わる前に自来也様は五代目にぶっ飛ばされて、窓の向こうに退場してしまった。

俺はと言えば、複雑な心境でお二人に指摘された己の胸を見下ろした。
花街の女に化けて婀娜な女物の着物を身につけた俺の胸は、片手で覆い尽くせる程度にささやかに盛り上がっている。
俺の女体変化はなかなかの美女っぷりで評判もいいし完璧だと思うのだが、お二方の感性とはどうも掛け離れているらしい。

第一、今回の俺の変化は、先ずはターゲットに近付くためのものであって、ナイスバディな肉体を武器に相手を籠絡するまでは含まれてはいない。
それに、本来の己の姿に近い変化の方がチャクラの使用量も少なくて済む。
己をそのまま女性にスライドしたらと言うイメージで変化すると、自ずとスレンダーな体系になる。
きっと俺は女に生まれたらペチャパイだったろう。
しかし、あくまでも任務上の変化、女性に見える程度のメリハリがあれば、胸の大きさなど二の次だ。
今回の任務だって、大成功だったんだから。


「カカシ、男は大きな胸に弱いんだよ。これは確率の問題だよ。だから忍たるもの任務に効率の良い変化を心がけるべきだよ」
「しかし……」
「そうじゃのぉ、綱手、お主もなかなか良いことを言うのぉ」
いつの間にか復活した自来也様が隣で相槌を打っている。
「はあ……」
もう俺はなんと返事して良いのやら……
ともかく任務は終わったのだから、早く変化を解きたい。
と言うのも、己の術の上に、変化を長時間保つ術を綱手様に掛けられているので、自分では解けないんだよね。


そろそろお願いして術を解いて貰おうと思っていると、扉がノックされて五代目の誰何に応えて入って来たのはイルカ先生だった。
任務につく前に俺の女体化を見ているから、俺を見ても驚いた様子もなく俺と自来也様に会釈をして五代目に書類を提出し報告をし始めた。
要領の良い簡潔な報告が終わると俺達に一礼し出て行こうとするのを五代目が引きとめる。

「イルカ、カカシの女体変化だが、お前はどう思う?」
「流石、カカシ先生、素晴らしい変化だと思います」
そうだよ、任務に出る前もイルカ先生は俺の女体変化を見て「流石にお綺麗ですね」って褒めてくれたんだから。
しかも「女の姿の方がやっぱりいい?」と聞かずにはいられなかった俺に、「俺は性別を超えてカカシ先生を愛していますから」って言ってくれたんだから。

「色気に欠けると思わないかい」
「あっ!!」
「あっ!!」
五代目の手がいきなり伸びて来て、俺の着物を肩からずり下げた。
俺とイルカ先生の口から同じような驚きの声が上がる。
ただでさえ肌蹴気味に着つけていたものだから、俺のささやかな胸がぽろりと零れ出てしまった。

「ご、五代目、ちょっと……」
俺は慌てて着物をかき合わせようとしたけれど、身動きが出来なくなっていた。
肩が丸出しにされて、下げられた部分と袖とを背中で一纏めに五代目に掴まれてしまっていて、上半身を拘束されたような状態になってしまっていた。

「じゅ、充分、色っぽいと思いますが……」
イルカ先生はほんのりと赤くなって、俺からやや視線を反らす。
幾ら変化だとは言っても、女性になった身体を丸出しにされるのは恥ずかしいものがある。
イルカ先生、御配慮痛みいります……
それに引き換え自来也様は……

「うーむ、本当にささやかじゃのぉ…わしはもうちっと、こう、むちむちぷりんと…」
と何やら怪しい手つきをしている。
自来也様の好みは充分存じておりますが、俺は別に自来也様好みになる予定もありません。
イルカ先生の好みは男の俺なんだから。
それなのに、五代目と来たら…


「イルカ、いくらカカシ相手だからって遠慮しなくたっていいんだよ。ほら、こっちの方がお前も好みだろう」
なんて馬鹿なことを言ったかと思うと、いきなり俺の胸がバイーンと突き出すように巨大化した。
五代目の術だ。

「うほっ!!」
「ぶほっ!!」
自来也様が目ん玉をひんむいて鼻の下をだらしなく伸ばして喜び、イルカ先生が顎を外して盛大な鼻血を吹いた。

帯の上にたわわに実る二つの乳房。
五代目ほどの巨乳。
いや、五代目以上の爆乳だよ。
これって、スイカップだかバズーカップくらいあるんじゃないの。
俺はあまりのバランスの悪さによろけてしまったほどだよ。


「ほうら、見ろ。やっぱりこっちの方が受けがいいだろう」
鼻血を噴いたイルカ先生と、やにさがる自来也様を見て、五代目が何故か勝ち誇ったように言う。
「よし、カカシ、お前はしばらくこのままでいろ。少しは胸の重要性を実感するがいい」
五代目の馬鹿力で背中を叩かれ、イルカ先生に向かって吹き飛ばされた。
迸った鼻血をぬぐいながらも、イルカ先生が俺の身体をしっかりと支えてくれた。

けれど、いつもと感じが違う。
巨大な胸がイルカ先生と俺とを隔てている。
弾力のある真っ白い乳房が、イルカ先生と俺の身体の間で、むにゅっと潰れる。
「うっ……」
イルカ先生が再び勢いよく鼻血を噴いた。

「イルカ、お前も全くだらしないね。そんなカカシごときの偽胸で。いい機会だ。イルカは生乳に慣れること。どうせ乳繰り合うなら、巨乳が嬉しかろう。ほら、今日の任務はもういいよ」
今度は俺とイルカ先生と二人揃って突き飛ばされて、火影室から追い出された。



「イ、イルカ先生、大丈夫ですか」
「は、ははは……すみません。そ、それよりカカシ先生、早く、そ、それをしまってください」
イルカ先生ったら、鼻血を拭き拭き、目をそらしながら乳をしまえって言うんだよ。
「それ」ってちょっと酷くない?
まあ俺も丸出しなままなのも落ち着かないから、襟をきっちり合わせて着直したけれど。
巨乳を見て鼻血を噴かれるなんて、やや複雑な気分。
俺の真っ裸を見ても鼻血なんて噴いてくれたことないのに……

「ご自分で変化は解けないんでしたよね?」
「そうなんだよねぇ。今、五代目の所に戻っても解いてくれそうもないよね?」
「仕方ないですね。今日はもうお許しが出たみたいですし、家に帰りましょう」
イルカ先生はそう言うと自分のベストを脱いで俺に着せかけてくれた。
着物の上にベストって、いつも以上にあやしい恰好に見えるけど、これも仕方ない。
歩くだけで着物のからはみ出そうな乳を揺らして、外を歩く勇気は俺にはないよ。




「イルカ先生って、やっぱり女性の胸の方が興奮するんですか……」
「そう言うわけじゃありませんってば。た、ただ、見慣れないだけで…」

見慣れないって言うだけで、あんなに鼻血噴いていたんじゃ、色々と差し障りもあるんじゃない?
イルカ先生はずっと俺のものなんだから、このままだと見慣れる日なんて絶対来ないよ。
最近のくノ一は露出過多でお色気むんむん系が多いからね。
くノ一の乳を見ていちいち鼻血を噴いていたら、誤解されかねないよ。
イルカ先生を信じてないわけじゃないけれど、たぶらかされないとも限らない。

第一、他の女の乳を見て鼻血を噴く先生なんてのは、俺が我慢できないよ。
やっぱり免疫をつけないと駄目かもね。
自分の変化した女の胸に鼻血出されても複雑なのに……
やっぱり、これは俺にとっても良い機会かもしれないね。

イルカ先生に慣れて貰おう!
と言うわけで、図らずも五代目の命令通りの展開になったんだけれど……


イルカ先生ってば、やっぱり侮れなかったよ。
カカシ先生のおっぱいだと思うと、だんだん慣れてきましたって言って、もうとても俺の口からは言えないようなことを、いっぱいされちゃったんだから。
身体はとっても気持ち良かったんだけれど、本来の自分の姿じゃないものを可愛がられれば可愛がられるほど男心は複雑で……
自分に嫉妬しちゃった馬鹿な俺。



翌日、変化を解いて貰って男の姿に戻った後、なんだか落ち込んでいる俺に、イルカ先生はとっても優しくしてくれて、そして意地悪だった。

「ありのままのカカシ先生が好きですよ」って何度も言ってくれて……
「平らな胸も好きですよ」って優しく囁いてくれて……
「馬鹿なことを考えないように、身をもって教えてあげないといけませんね」って……
「胸は平らでもここはこんなに敏感でいやらしい乳首ですよね」って……
「女性の時と感じ方は変わらないですね」って同じようにされて……
これでもかって言うくらい、男の俺の胸をたっぷりと可愛がってくれて……
やっぱり気持ち良かったけれど、俺は大変な目にあってしまったよ。


しかし巨乳って肩が凝るんだね。
いつも五代目が、これ見よがしに乳を机に乗せている理由がわかった気がしたよ。
もう俺も巨乳はこりごり。







end








2008/10/17


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