オトナルカカ ナルト18歳の誕生日のお話









青い鳥

   












誕生プレゼントは、一つだけなんでも俺の言うことを聞いてくれる権利。


「欲しいものはないか?」って聞かれて考え込んだ俺に、
「なんでも好きな物をやるよ」ってカカシ先生が言ってくれたので、
「欲しい物と言うか……先生にお願いがあるってばよ。一つだけでいいから、俺のお願いを、絶対に絶対に、どんなことでも聞いてくれるって言うプレゼントが欲しいってばよ」
俺はそうお願いしてみた。

カカシ先生は、ちょっとびっくりしたみたいだったが、すぐに三日月形に目を細めて笑った。
「全くお前にはいつも驚かさせられるよ。意外性ナンバーワンは伊達じゃないな」
なんて言って、すごく楽しそうに俺のことを見た。
そんな風にカカシ先生が笑ってくれているのを見るのも俺は好きだ。
だけどカカシ先生ってば、俺の事をまだまだ子供扱いしてないか?
俺のお願いなんて、一楽のラーメンおごってくれとか、きっとそんなことだと想像しているんだろう。
だけど、今年の俺は一味違うぜ!
今日から18歳だ。
オトナの仲間入りだからな。


「ラーメン驕れとか、肩叩きとか、一日デートとかそんなんじゃないってばよ」
俺はカカシ先生に釘を刺した。
「まあ言うだけ言ってみな」
怖い怖いと、ちっとも怖くなさそうに呟いて、カカシ先生は余裕たっぷりにそう言った。
聞いて驚けよ。
俺は大きく息を吸い込んで、かねてから思っていた願いを口にした。

「俺と同じ年のカカシ先生とエッチしたいってばよ!」
どうだとばかりに胸を張って堂々と答えたが、実は内心はちょっとビビっていて、殴られるのを覚悟で言ってみた。
だけど、カカシ先生は、さっきよりももっとびっくりしたみたいに目を丸く見開いた後、物凄く複雑な顔をして黙り込んでしまった。


カカシ先生は黙ったまま、宙を睨む。
目の前にいる俺ではなくって、どこか物凄く遠くを見詰めているみたいだった。
何を見ているんだか、何を考えているんだかわからない。
表情が消えたって言うか、能面のような顔つきになったと言うか……

えっと、カカシ先生?
なんか声を掛けられない雰囲気になっちまった。
呆れられちまったのか?
それとも罵倒するのも忘れるほど、怒らせちまったのか?
「あ、あの……カカシ先生?」
長い長い沈黙に耐えきれなくなった俺は、恐る恐る声を掛けた。
こんなに沈黙が恐ろしいなんて……。
罵られたり、ぶん殴られたりする方がましだってばよ。

カカシ先生は俺の声にようやく現実に戻ってきたみたいに俺の顔に視線を戻した。
その瞳は、とんでもなく冷めていた。
冷たかった。
氷のようだった。
凍えそうだった。
氷点下だ!


「そんなに若いのがいいなら、同年代の奴と付き合えばいだろう」
地を這うような声。
声も顔も、怒っていると言うより冷めきっていて無表情だってばよ。
すげー冷めたい雰囲気だった。
やべえっ、本気で怒らせちまった?
俺ってば、やっぱり地雷を踏んじまった?
歳に関することは、すげーデリケートな問題だったってばよ。
カカシ先生は、すげー気にしているんだ、俺との年齢差を。

俺は、そう言うつもりで言ったんじゃないのに。
単なる好奇心。
単なるスケベ心だってばよ!
と、本当のことを言えるわけもなく……
ともかく、誤解だ。
誤解を解かねーと。


「ち、違うってばよ!誤解しないでくれってばよ!俺は、今のカカシ先生が大好きだ!そのまんまのありのままの今のカカシ先生をまるごと愛しているってばよ!」
カカシ先生は、今更遅い、聞く耳を持たないと言った態度でツンとそっぽを向いている。
めげるな、俺!
「だから、カカシ先生の全部を知りたいんだってばよ!俺の知らない頃のカカシ先生のことも知りたいとか、見てみたかったとか思うのは、カカシ先生のことをすげー愛してる恋人なんだから当たり前の気持ちだってばよ!」
「そんなことなら写真でも見ればいいだろう」
やった!
カカシ先生がこっちを見てくれたってばよ。
もうひと押しだってばよ!


「写真なんて先生あれしか持ってないじゃないか」
俺は窓際の棚に飾ってある、ミナト班とカカシ班の写真をちらっと見た。
他にカカシ先生の写真なんて見せて貰ったことないぞ。
多分、カカシ先生も持ってないんだろう。
「それに写真があったとしても、カカシ先生ってば、子供の頃からマスクしてたんだろ?それじゃ今と変わんねーってばよ」
俺が見たいのは素顔のカカシ先生だってばよ。
「今と変わらないと思うなら、若い頃の俺なんか見なくたって構わないだろう」
「そーじゃねーってばよ。わかんねーかなー。カカシ先生は俺が子供の頃から知っているのに、俺はカカシ先生のこと知らないのは、ずるいってばよ!俺も知りたいってばよ。それがイーブンって奴だってばよ!」
「そんな事を言っても、それが歳の差なんだから仕方ないだろう」
カカシ先生は溜め息をついた。


「歳の差のことなんか言ってねーってばよ!俺はカカシ先生がジジイになろうがつるっ禿げになろうが愛しているってばよ。生まれる前から愛しているってばよ!だから赤ん坊の先生も、あの写真の頃みたいな先生も、俺の歳くらいの先生も、みんなみんな知りたいってばよーーー!」
「だったら、お前が下忍になった頃の俺になってやるよ。お前と俺が出会った頃なんだからお前の言い分を借りればそれでイーブンだろう?」
「そんなの駄目だってばよ!」
12、3の先生もきっと可愛かったろうが、今の俺がそんな先生に悪戯したら犯罪じゃねーか!
「なんで駄目なのよ。俺だって、もっと幼い頃のお前のことは知らないんだから、それであいこになるだろう」

「ちがーうちがーうちがーーう!俺は18のカカシ先生に会いたいんだってばよーーーーー」
「エッチしたいとか言わなかったかお前」
「ヤマト隊長が!」
「ヤマトが?」
唐突に出て来た名前にカカシ先生は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔つきになり戸惑いながら繰り返した。
よし!
押せ押せだってばよ!


「ヤマト隊長が、暗部時代のカカシ先輩は暗部の憧れの的だったって言っていたってばよ。ナイフみたいに尖っててすげー凄味があって、綺麗で美人で高嶺の花だったって言っていたってばよ」
「ヤマトがねぇ……」
カカシ先生は額を抑えながら遠い目をした。

「カカシ先生ってば18の頃は暗部だったってば?」
「バリバリだったね」
「バリバリ?」
「ま、バリバリ」
「バリバリかぁ〜〜」
暗部服をまとったカカシ先生を想像してみた。
やべっ。
すげーやべぇ!


「ずるいずるいずるいってばよ。ヤマト隊長だけ知ってるなんてずるいってばよ!」
「ずるいって言われてもねぇ……」
「俺もバリバリのカカシ先生見たいってばよ!」
「俺がもうバリバリじゃないみたいな言い方だねぇ」
「今のカカシ先生は熟れ熟れだっ……痛っ」
すかさず頭をどつかれた。
「痛い……酷いってばよカカシ先生。俺、誕生日なのに」
そんなに強く殴られたわけじゃないけど、俺は大袈裟に痛がってみせた。
だって俺は熟れ熟れのカカシ先生が大好物だってばよ。

「ヤマト隊長は知っているのに、俺だけ知らないなんてずるいってばよ。俺は恋人なのに!ヤマト隊長に負けてるみてーで悔しいってばよ!」
「そんなこと言ったって……」
カカシ先生ってば、困ってる。
俺がヤマト隊長とカカシ先生が親密にしていたりするのに、ちょっとばかりジェラシーを燃やしたりしていることをカカシ先生は知ってる。
そこをつくと弱いってのを俺は知ってる。
もうひと押しか?
すがりつけ!
泣き落とせ!


「今日は俺の誕生日だってばよ!なんでもしてくれるって言ったじゃないか!」
「最初からなんでもなんて言ってないぞ」
「言った言った言った!言ったってばよ!」
「ふぅ……18になったんだろう?育ったのは図体だけか……」
目の前で盛大に膨れて駄々をこねる俺に、カカシ先生は大きく溜め息をつき脱力した。
「18だってばよ。大人だってばよ。俺が大人なのはカカシ先生がよーく知っているだろう?18の頃のカカシ先生より、俺の方がきっと大人だってばよ!」
「いやいや、俺の方がもう少し落ち着きがあったねぇ」
「だったら証明して見せるってばよ!」
カカシ先生は腕を組んで、ちょっと考え込むみたいに首を傾げた。


「見せるだけだよ」
俺のわくわく顔に、先生はついに観念してそう言った。
「うんうんうんうん!」
俺は、満面の笑みでコクコクと頷いた。
やったー、やったー、やったーってばよ!
変化してくれさえすれば、こっちのもんだってばよ。
「全く、何が楽しいんだか……」
喜色満面の俺に対してカカシ先生はやれやれと呆れた様子だったが、渋々と印を切り始めた。
「暗部服でお願いします!」
俺はすかさず注文をつけた。


「変化!」
ぼふんと白い煙が上がり、中から現れた姿に、俺は目を瞠り固唾を飲んだ。
入れ墨をした白い腕剥き出しの暗部服姿のカカシ先生がいた!
バリバリの……
いや……
ぴちぴちのカカシ先生だーーーー!!!

そう、ぴちぴちだけど今のカカシ先生より少し線が細い。
剥き出しの肩が尖ってる。
プロテクターに包まれた上半身が薄い。
鍵爪のついた長い手袋がいろっぺーーーー。
左右色の違う目を半目に開いて少し顎を上げ気味にして俺を見下ろしている。
身体の前で腕を組んで立つ姿は、ヤマト隊長の言っていた通り、まさに女王様!

触れたら火傷するぜ!って感じがたまんねーーー!!!
触れるもんなら触ってみろって言ってるみてーなドヤ顔が、たまんねーーー!!!
俺はうっとりと眺めまわした。
想像していたよりはるかにヤバイ。
暗部服は、やばすぎるってばよ!
頭のてっぺんから爪の先、そしてつま先まで、じっくりたっぷりと舐るように眺めまわした。
そんな俺に、カカシ先生は珍しく照れたり困惑したりする素振りを見せなかった。
それどころか、ニヤリと笑った。
確かに、口の端を上げて笑った!
まるで挑発するように!

ズキュン!

股間直撃したーーーーーーー!!!!!
据え膳食わぬは男の恥じだってばよ!
「いっただきまーーーーす!」
俺は、ぴちぴちの18歳のカカシ先生に飛び付いた。


カカシ先生と出会ってから、俺は誕生日が大好きになった!

大好きな人に祝って貰える誕生日って、超幸せ!!


今年も最高の誕生日だってばよ!








とりあえずend






あとがき
ナルト誕生日おめでとーーーーーー!!!!
誕生日くらいナルトにいい目を見させてあげよう!と思って、
サクッとエロを書きたかったんだけど、おかしいなぁ(笑)
エロまで辿りつけませんでした。
この後、18歳のナルトと18歳のカカシ先生の壮絶なラブバトルの予定でしたが、
そういや家のサイトもうエロはなかったんで、いきなりエロ来たらびっくりしちゃいますね(笑)
ちょっぴりリリカルでコミカルでロマンス溢れるラブラブ砂吐きサイト目指してますから!!
(嘘くせーーー(笑)でも自称するのはただ!)
まあエロはともかく、恋人同士に収まった二人の日常と言うか、
二人の関係ってこんな感じ!って言うのを書けた気はします。
カカシ先生の微妙なツンデレ具合と、
カカシ先生の気持ちなんてお見通しの、ちょっと狡賢い大人になったナルトが好きなのさ!

なんか懐かしい台詞だの死語を連発してしまいましたが、
「ナイフみたいに尖ってた」は、ヤマト隊長が言ったんだってばよ(笑)
バリバリは、ま、そう言うわけだ!!


2012/10/10




レンタルサーバー inserted by FC2 system