オトナルカカdeお書き初め









はつ春














「カ、カカシ先生!」
「な、何、いきなり、なんなのよ!ナルト、お前、書き初めしてたんでしょ!」




珍しく二人揃って新年を迎えられた、麗らかな新春の昼下がり。
ナルトはなぜか「書き初め」を始めた。
なんと綱手様からの宿題だった。
なぜ「書き初め」なんて宿題が火影様から直々に?と不思議だっが、聞いてみればこの上なく単純でアホらしい話だった。
ナルトの字は……良く言えば大変、個性的だ。
個性的過ぎで、暗号かと思うほど判読不能な場合もある。
ナルトの報告書のあまりの読み辛さに、受付から散々注意や文句が噴出していたのは俺の耳にも入ってはいた。
ついに業を煮やした綱手様が、火影になるなら字も重要だと仰って、ナルトに習字の修行を言いつけたらしい。
で、その第一弾が「書き初め」の提出だったわけ。

「こんなのちょろいってばよ!」
と意気揚々と書き始めたが、あーあ、半紙から字がはみ出るわ、収まり切れないわ……
四苦八苦する様子を黙って眺めていたんだけれど、途中で俺にヘルプが入った。
仕方なくお手本を書いてやったりしたんだけれどね。
「うわー、流石、カカシ先生だってばよ。なんて言うの?流麗って言うの?凄いってばよ」
やたら感心してくれたけれど、このくらい誰だって書けるだろう。
まして忍の心得として当たり前だよ。
巻物を書くのにだって……
って、こいつ、巻物、どうしていたんだ?
口寄せにだって使うだろう……まあ、自分の名前くらいはちゃんと書けるのか?
やっぱり、字も重要だよね。
綺麗じゃなくってもいい。
読める字を書くって言うことは重要だよ。
まして火影になるならね。


「ナルト、お前は、火影になる男なんだろう?だから、綱手様も期待しているんだよ。勿論、俺だって」
上手く煽てて、やる気にさせて、しばらくはナルトも一生懸命、練習していたのに……
「うあーー、上手く書けないってばよ!」
何枚か書いて、もう飽きてしまったのか、大声を出して、俺の方へ恨めしい顔を向けて来た。
まあ、一朝一夕には、字は上達しないけれどね。
ちょっと飽きるの早過ぎないかい?
「ナルト、もう少し落ち着いて、一枚一枚、丁寧に書いてみたら……」
もう一度、助言をしようとしたら、ズイと顔を近づけて俺の腕を掴んで来た。

「カカシ先生!」
「な、何よ、いきなり、ナ、ナルト、もう少し頑張りな」
お前、馬鹿力なんだから。
そ、それに、そんなにいきなり顔を近づけたら、ドキドキ……じゃなっくて驚くでしょう。
平静を装って、さりげなく掴まれた腕を外そうとするけれど、俺の力じゃびくともしない。
「カカシ先生、上手く書けないってばよ。これ、筆が悪いのかもしれないってばよ」
「ナルト、弘法は筆を選ばないんだよ」
「こうぼうって何だってばよ?あ、わかったってばよ!」
ナルトは、合点が行ったとでも言うように明るい顔をして筆を振り回すものだから、はらはらしてしまう。
「あ、ばかっ!墨がつくでしょ!」
「先生、選ぶも選ばないもないってばよ!!先生のこうぼうは俺のだけだってばよ!!」
「な、何言ってるの、俺はお前の言っていることがわからないよ!!!」
「わかんねー、なんて、先生らしくないってばよ。先生は俺に教えるのが仕事だってばよ?」
「も、もう、お前は一人前なんだから、教えることもないよ。た、対等だって言ったじゃない」
「じゃあ、今度は俺が先生に教えてやるってばよ。先生が使っていい、こうぼうも筆も、俺のだけだってばよ。他のもん、使ったら許さないってばよ」
お前、本当に、何を言っているの。
先生は、お前の頭の中、最近、特にわからないよ!!


「うわっ、ナルト、す、墨、墨がつく!!あ、なにするのっ……こら、めくるな!!
ナルトの不埒な手が、俺のアンダーを捲り上げる。
思い切り跳ね退けてやりたいけれど、ナルトの右手に持った墨のたっぷりとついた筆が気になって仕方ない。
俺の抵抗が薄いのをいいことに、ナルトが体重をかけて圧し掛かって来る。
「な、カカシ先生。先生は俺のものだって、名前を書いておくってばよ」
「やっ、やめっ……あっ、ああああっっっ……冷たっ!!!」
捲り上げて晒されてしまった胸の上に、筆の先が押し付けられて、乳首の周りにぐるりと渦巻き模様が描かれた。
「アッ……アアアッ……ば、バカッ!!!す、墨をつけるなっ!!!よ、汚れるっっっ」
あまりの冷たさに、びくびくと身体が跳ねる。
「うずまきナルトって書くってばよ」
「アッーーーっっっっ……ああああああっっ……やっ……やあっ…くすぐったっ……いっっっっっ……」
器用に片手で俺の肩を押さえつけ、床に縫い止めたまま、胸の中央のラインに沿って、スラスラと筆を滑らせて行く。
濡れた筆先が、くすぐったくってたまらない。

「ナルト、ふざけるなっ。お前、書き初めしてたんでしょっ!!!筆はこんなことするためのものじゃないし、弘法って言うのは……」
「な、カカシ先生。書き初めはもういいってばよ。充分、上手に書けたってばよ。次は『姫始め』だってばよ」
「な、な、な、何、言ってんだーーーー!!!!正月っから、このエロ忍者ーーーー!!!!!」
「カカシ先生、『姫始め』って知ってるんだ?それ、なんだってばよ、俺にも教えてくれってばよ?やっぱり先生は、今年も俺の先生だってばよ」
「ち、違うっ、姫始めなんて知らないよっ……あっ……あああああっっっ……ふ、筆は止めてーーーーーっっっ!!!!!」
「カカシ先生、今年もよろしくだってばよ!!!」







end








2009/01/01


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