暗部時代のテンカカ








First Poison


ver.テンゾウ














「お前、もう済んでいるの?」

「はっ?」

「そっち」

そっちと言うカカシ先輩の視線の先は、暗部服に包まれたボクの股間だった。
カーっと赤くなったボクにカカシ先輩は、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。


「その様子じゃ、女はまだかな?でも、握ってるんでしょ?」
と、白魚のよう指を握ったり開いたり、卑猥な手つきをしてみせる。

に、に、握っているって……
何を?
って、ナニかーーーーー!!!!!!
そ、そりゃあボクだって、そう言う年頃だ。
だけど、そ、そ、それが?


「ね、オカズはナニ?それとも、誰、かな?」

困惑するボクに、先輩は追い打ちを掛けるかのようにしれっと質問を続けて来る。
しかも、誰って、そ、そんな、ダイレクトに……
言えるわけは無いでしょう。
め、め、目の前にいる本人に向かって「先輩です」とは、言えません!


憧れて焦がれて止まない先輩をオカズにするなんて、ボクはなんと言う不埒な男だと、何度も自分を詰ったけれど、美し過ぎるカカシ先輩の姿が脳裏に焼き付いて離れない。
いけないとはわかっていても、夜な夜な先輩の妄想がボクを悩ませるんです。
魅惑的過ぎる先輩の存在そのものが、罪なんです。
最近、ボクはそう開き直っていた。
そう、先輩に気付かれなければいいんだと……



「ね、俺が筆下ろししてあげようか?」
「はっ?」

顎が外れるかと思った。
い、今、なんと仰いましたか?
筆下ろしとか聞こえたような……
ボクの空耳ですか、それとも幻聴ですか?
ふっ、ふっ、ふ、筆下ろしぃ?
筆下ろしって、習字に使う筆じゃなくって、もしかしてもしかしなくてもアッチのことかー?
カカシ先輩が、ボクの?
ボクのアレを?
外れた顎が戻る前に心臓が止まりそうです!

呆然とするボクに、カカシ先輩はにこやかに続けた。



「俺じゃ、いや?」

いや?
いやだなんて滅相も無い。
ボクは慌てて首がもげそうになるほどぶんぶん振ったが、これは現実なのか?
ま、ま、ま、まさか、カカシ先輩がボクに?!
ま、ま、ま、ま、まさか、こんなことがあってもいいのか?

幻聴どころか、これはひょっとして幻術なのか?
カカシ先輩、いつの間に、写輪眼を?と思ったが先輩の左目は閉じられたままだ。
夜空よりも深い海よりも美しい色を讃えた右目だけが開かれている。
もしかして、これはボクの願望が作り出した白昼夢なんじゃないだろうか。
カカシ先輩を思うあまり、ついにボクはおかしくなってしまったのか。
そっちの方がありうる!
ボクは自分の正気さえ疑い始めた。



「女もまだなんじゃ、女体変化してあげよっか?俺、上手いよ?」
う、上手いって何がーーーーーー!!!!

カカシ先輩の変化の見事さはよーく知っています!
女体変化だなんて、想像しただけでも抜け…じゃなくって、女体変化も魅力的だけれど……
しか、しか、しかしっ、上手いって、上手いって……
上手いのは女体変化ですか?
何が上手いと言うんですかーーー!!!!!

血管がぶち切れそうです……
目眩がしそうです……
耳から脳みそが零れ出そうです……

ボクは危うく卒倒しそうになった。
夢でも幻でもなく、目の前にいるのは本当にボクの敬愛するカカシ先輩ご本人ですか?
そして、これは本当に現実なんですか?!

夢だとしたら、こんな美味しい夢はない。
しかし美味しい夢に限って、「いただきます」をした途端に目が覚めてしまうものだ。
だったら、急がなければ。
でも、本当に本当に、これが現実だとしたら?
チャンスの神様は前髪しか無いって言うじゃないか。
ぐずぐすしていたら逃げられる。
今すぐ前髪を掴まないと逃げられる。
どっちにしろ善は急げと言うじゃないか。



「お、お願いします!!」
ボクは、裏返った声で怒鳴り、勢い良く頭を下げた。

「で、どっちを経験したいの?」
「カ、カ、カ、カカシ先輩でお願いします!!」
一度上げた頭を、もう一度、米つきバッタみたいに深々と下げた。

「オトコってこと?ま、俺はどっちでもいいけど、先に男の味を覚えちゃうと、女じゃ物足りなくなったりしちゃうらしいよー」

それでもいいの?って、猫のように目を細めて、ボクの顔をニヤニヤと覗き込んで来る。
そんな表情さえもたまらなく、色っぽいです!


い、いいです。
いいです、じゃなくって、カカシ先輩で是非是非、お願いします。
先輩がいいんです!!!
女じゃ物足りなくなるどころか、ボクは先輩を知ってしまったら、もう他の何もかもが色褪せて見えるでしょう!
先輩でなければ満足できない身体になってしまうでしょう!
それでも、いい!
カカシ先輩に、ふっ、ふっ、筆下ろしをして頂けるなんて、そんな光栄なことはありません。
ボクは、例え先輩なしではいられない身体になろうとも、本望です。

例えどんな気紛れだろうと、その身体をボクに許してくれるなんて!!
ボクは、その思い出だけでも、きっと、一生オカズには……じゃなくって、一生の輝かしい記念碑として心に刻み生きていけます!!





「ほら、そんな固くならないで。硬くするのはアッチだけで……って、お前、もうこんなにしているの?」

うわーーーーー!!!!!

先輩の白魚の手が、

手が、

手が、

ボクの暴れん坊に!!!!






そして、夢のようなひと時が、このボクの身に訪れた。


そう、本当に、夢のように現実離れした甘美なひと時が……




夢にまで見たカカシ先輩の麗しい裸体がボクの目の前に!

白昼夢にまで現れたカカシ先輩の魅惑の肢体が、ボクの腕の中に!


ボクは無我夢中で、カカシ先輩の身体を貪った。
めくるめく官能……を味わうにはボクは必死過ぎたが、手取り足取りまさに腰を取り、カカシ先輩はボクを導いてくれた。


信じられないような至福のひと時に!

もう、このまま昇天してしまっても構わないと思えるほどの、この世の楽園、至上の快楽に!








「うふふ、どうだった?」
なだらかな背中を惜し気も無く晒し、気だるげにシーツに肘をついてカカシ先輩がボクに問う。

「さ、最高でした!」
カカシ先輩の足元で正座していたボクは、シーツに額がめり込むほど頭を下げた。

「そりゃあ、良かったよ。じゃあ、次は女も経験して来たらいいよ」
そんな先輩の言葉に、ボクは勢い良く頭を上げた。
その勢いのまま、ぶるぶると首を横に振った。

先輩の感触を消すことなんか出来ません!
先輩のこの芳しい香りが消えてしまうのさえ惜しいです!
ボクはしばらく風呂にだって入りたくありません。



「ボ、ボ、ボ、ボクはっ」
「ボクは?」
盛大にどもりまくるボクに、先輩はチラリと流し目をくれる。
ああ、その視線だけでボクの心臓は打ち抜かれそうです。

「せ、せ、せ、せ、先輩がっ、いいですっ」
「俺が?俺の女体変化ともやりたいって?」
それも大変、魅力的ですが、そうじゃなくって!

「ボ、ボ、ボクはっ、カ、カ、カカシ先輩がっ…せ、先輩が、さ、最高です!」
「俺のアソコはすごーく具合がいいのは知っているけどね。でも、本物の女も知っておいた方がいーよ」


そ、そうじゃないんです。
いえ、先輩のあそこが素晴らしく締まりが良かったのも、きっと、め、め、名器なのも本当です。
ですが、例えどんなに素晴らしい名器を持った世界一の美女だとしても、どんな美男だとしても、先輩の前では色褪せて霞んで見えるでしょう!
ボクにとって、先輩は……

先輩は……

カカシ先輩は……

ボクは未来永劫、カカシ先輩だけを!

カカシ先輩だけがっ!





「テンゾウ、腹減らないか?」

カカシ先輩がするりとシーツから滑り出て、ベッドから降り立つ。
ああ、目映いばかりの白い裸身!
神々しいばかりのプロポーション!

あっ!
白い尻に赤く指の跡が残っている……
ボクが強く掴み過ぎて……
あの尻を…このボクの手が……
あ、あの身体に、ボクが触れ………
あの身体が、ボクを包み込んでくれて……

思い起こしただけで、再び下半身に血が集まりそうだ。
今更のようにボクは、自分の身に起こった僥倖が信じられなくなってきた。
あまりの恐れ多さに、先輩のお尻を目の前にして平伏したい気分だった。



「シャワー浴びたら、何か、食いに行こう」
そんなボクの葛藤を他所に、先輩が振り向かないままボクに声を掛ける。

「は、はい!どこまでもお供します!!」
ボクは即答した。
勿論、どこまでも、お供させて頂きます。
先輩の行く道がボクの道!


「大袈裟だね〜」
と、クスクス笑いながらカカシ先輩はバスルームに向かう。
その後ろ姿を、ボクはやっぱりシーツに額を擦りつけんばかりに頭を下げて見送った。







end








あとがき
テンゾウの初恋は、勿論、カカシ先輩で。
そしてお初もカカシ先輩だといいな〜と言う願望を形にしてみました!
まだ口にも出せないような、ただ悶々と先輩を思って一人上手の夜を過ごしていたテンゾウに、
カカシ先輩の魔の手が!って感じで、転げ出す二人の始まりって言うのも楽しいなーと(笑)
恋をして大人への階段を昇る……テンゾウの全ての瞬間にカカシ先輩が関わっていたらいい!!
テンゾウにとってカカシ先輩は、甘美な麻薬のようなもの!
先輩と言う毒を一度味わってしまったテンゾウは、もう先輩なしではいられない!!

このテンゾウ幾つくらいでしょうねぇ〜?一応、15、16、17くらいを想定しているんですが。
暗部には、何歳くらいで入ったのかなぁとか、
大蛇丸の所から救出された後の生活とか、色々謎がいっぱいで、妄想をかきたてられますね!
皆様はテンゾウの童貞喪失は何歳くらいが理想でしょうか…って、こう言うのも理想と言うのか(笑)
テンゾウ、15、16、17となると先輩は、19、20、21くらい。ああ、美味し過ぎる!!


2010/06/10


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